臓器移植が医療としてわずかな有効性を示しうるとすれば
それはこの技術の革新性がもたらしているものでは、おそらくない。生命が本来的にもっている可塑性に支えられているのである。
切り取られ、無理やりはめ込まれた部分としての臓器に対して、身体はその不整合ゆえに、けたたましい叫び声を上げる。激しい拒絶反応が起こり、異物排除のための攻撃が始まる。不思議な界面に、全身から白血球が集まり、抗体が生産され、炎症が発生する。移植臓器がこれに耐えかねた場合、臓器は壊死を起こし、その場にとどまれなくなる。
なんとか臓器が持ちこたえたとしても、免疫応答を抑え込むために、強力な免疫抑制剤が処方されなければならない。果てしない消耗戦であり、レシピエント側は免疫能力全般のレベルダウンを余儀なくされる。新たな感染症におびえねばならない。しかし、ここに奇妙な共存関係がなりたつこともある。レシピエントの免疫系は、やがてその攻撃の手を緩め、ある種の寛容さを示したかに見えるようになり、移植臓器も、完全にしっくりとは行かないまでも周囲の組織と折り合いをつけるようになる。まさに文字通り、植え替えられた植物のごとく、新たな根を張り、茎を伸ばして、血管系や神経系を徐々に再生して、代謝上の連携を結ぶようになる。
ひととき、大きくかきみだされた平衡は、徐々に新たな平衡点を見つけるのだ。生命現象が可塑的であり、絶え間のない動的平衡状態にあるということはこういうことである。福岡伸一 世界は分けてもわからない より
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臓器移植を批判するつもりは全くありません。
臓器移植以外では命を維持できない人が大勢いるのも事実です。
小児心臓移植など中にはまだまだ厳しいケースもあるとはいえ
全体的には移植後生存率も随分上がっているのもまた事実。
そうではなくて
臓器移植が良い悪いとかではなくて
異物が身体に入ってきたときの
免疫反応含めた
リアルな身体反応を
私たちはもっと知っておいたほうが良いのではないでしょうか?
と思ったのです。
bodycare GREENS 森田