前回こんなだったので
はっきり言って気が重かった…
母の定期検診を済ませたあと
ともに父のいる施設に向かうと
広いダイニングには
20〜30名ほどの入居者さんたちが静かに集まっていて
ひっそりとTVを
観るともなしに観ていた。
父はたぶん
今日も一人
部屋で寝てるのであろうが
一応探して観る
あ
いた
一番端っこの
他よりずいぶんと小さなテーブルに
一人でちょこんと座っている。
目はまっすぐに
でもその先には何もない。
母が声をかける
私のことはわからないだろうと思ったが
わかったようだ
いや
機嫌よく返事したのでそう思っただけで
ほんとはどうかわからない。
なんにせよ
機嫌がいいのはいいことだ。
ご褒美に
肩を揉んであげる
ああ
気持ちいいて…
そりゃそうだ
一応プロだからね。
一切運動していないので
筋肉がうすい。
肉というより
膜と言った方が近い。
それでも固さはある。
お客様にもそういう方はいくらでもいるので慣れっこだ。
気持ちいい気持ちいい
となんども言われ
私も気分が良い。
じっくりと首肩揉んであげると
突然
大型TVの画面が消え
ピンクのポロシャツを着た男性スタッフの方がみんなの前に出てきた。
体操の時間ですよ〜
胸を開いたり
首を回したり
舌を出したり
こめかみをセルフマッサージしたり
なるほどよく考えられてる。
それが終わると
パから始まるものな〜んだ?
パンダ パイン パイナップル パンツ…
マから始まるものな〜んだ??
マイク マジック まり まりも パイナップル…
ラから始まりものな〜んだ?
ラジオ ライオン らん パイナップル…
以下同様…
ほとんどの方が
頑張って参加してるが
父はデフォルト状態
何もないところを凝視したまま
微動だにしない。
母は
ほらお父さん
体操しなさいよ
あの人(スタッフの方)見て
同じことして
というが
父は動かない
何も見えていないし何も聞こえていない。
パラレルワールド
「この現実とは別に、もう1つの現実が存在する」
そんなことをふと思った。
その後
昼食の時間となったので
施設を後にした。
今日は
良い日だった。
何も仕事ができないほど年取ってしまった人にも
機嫌よくいる
という大事な仕事はある。
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