見た目(視診)だけで体の歪みを評価することはできない

プロの整体師が陥りがちな誤解の一つに、
見た目だけで体の歪みを判断することがあります。
「右の骨盤が上がっている」
「左の肩が上がっている」
「右の足が短い」
などなど、、、
お客様からすると
はっきり評価、診断してくれる整体師を信用してしまう気持ちはわかりますし
なんらかの評価をしなければ施術の方向を決められないのも事実。
しかしそれでもやはり
見た目だけで体の状態を評価することは、実は非常に危険です。
以下にその理由を詳しく解説します。

1. 見た目の信ぴょう性の欠如

見た目はあくまで外観であり、内部の状態を正確に反映するものではありません。体の歪みは、筋肉や関節の状態、神経の働きなど、さまざまな要因によって影響を受けます。見た目だけで判断すると、実際には問題がない部分に不必要な施術を行ってしまうリスクがあります。

2. 筋肉の反応と歪みの関係

骨格に何らかの歪みが存在する場合、その歪みに関連する筋肉は必ず緊張するか、逆に伸びきった状態になることが一般的です。この筋肉の緊張は、体が歪みに対抗するための自然な反応です。したがって、見た目がどれだけ歪んでいても、筋肉に異常が見られない場合、実際にはその部分に問題はないと判断できます。

3. 筋肉の異常の種類

筋肉の異常にはいくつかのケースがあります:

  • 短縮: 筋肉が過度に緊張し、収縮した状態。これにより、関節の可動域が制限されることがあります。
  • 伸長: 筋肉が過度に引き伸ばされ、緩んだ状態。これもまた、関節の安定性を損なう要因となります。
  • 捻れ: 筋肉がねじれた状態。これにより、姿勢が不安定になり、他の筋肉への負担が増加することがあります。

これらの筋肉の異常が見られない場合、見た目の歪みは、必ずしも機能的な問題を示しているわけではありません。

4. 正しい評価方法

体の状態を正確に評価するためには、以下のアプローチ
中でも特に触診こそが最も重要です

  • 動きの評価: 様々な動作を通じて、筋肉の動きや関節の可動域を観察します。これにより、隠れた問題を発見することができます。
  • 触診: 筋肉の緊張状態や柔軟性を手で確認することで、より正確な情報を得ることができます。
  • 全体のバランス: 骨格の歪みだけでなく、全身の筋肉のバランスを考慮することが重要です。

まとめ

見た目だけで体の歪みを判断することは、誤解を招く危険な行為です。筋肉の状態や動きに注目し、全体のバランスを評価することで、より正確な施術が可能になります。
整体師として、見た目に惑わされず、体の本質を理解することが必要ですし
触診の精度をどこまで上げられるかが極めて重要なのです。

リスクのない 効果の高い技術のボディケアグリーンズ 森田

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