老化による血液量の減少と脳への影響

すべての血球は、造血幹細胞が分化を繰り返すことで作られます(造血)。 血液は胎生3ヶ月くらいまでは肝臓、脾臓で作られますが、その後骨髄での造血に移り、乳幼児期にはすべての骨髄で造血が行われるようになります。 成人になると、頭がい骨、胸骨、椎骨、骨盤等の骨髄での造血が行われます。

1. 老化と血液量の変化

年齢を重ねるにつれて、体内の血液量は徐々に減少します。以下は、一般的な血液量の推移です。

  • 20代: 血液量は最も多く、体重の約7〜8%を占めます。
  • 30代〜40代: 血液量は徐々に減少し始めますが、大きな変化は見られません。
  • 50代以降: 血液量はさらに減少し、特に60代以降に顕著になります。70代では、体重の約6%にまで減少することがあります。

2. 血液量の減少による影響

血液量が減少すると、脳に供給される酸素、水分、栄養素の量も減少します。具体的には以下のような影響があります。

  • 酸素供給の減少: 脳は体重の約2%しか占めませんが、全体の酸素の約20%を消費します。血液量が減少すると、酸素供給が不足し、脳の機能が低下します。
  • 水分不足: 脳の約75%は水分で構成されています。血液量が減少すると、脳内の水分も不足し、脳の働きに影響を与えます。
  • 栄養素の供給不足: 脳に必要な栄養素(グルコースやビタミンなど)が不足すると、神経細胞の健康が損なわれ、脳機能が低下します。

3. 脳の縮小と認知症リスク

血液量の減少に伴い、脳そのものが縮小することがあります。この縮小は、以下のようなリスクを引き起こします。

  • 脳の萎縮: 脳の神経細胞が減少し、脳の体積が減少します。特に前頭葉や海馬が影響を受けやすく、これが記憶や学習能力に影響を及ぼします。
  • 認知症リスクの増加: 血液供給が不足することで、脳の健康が損なわれ、アルツハイマー病や血管性認知症のリスクが高まります。認知症は、脳の萎縮と密接に関連しています。

4. 若い頃からできる対策

老化による血液量の減少や脳の萎縮を防ぐためには、若い頃からの対策が重要です。以下の方法が推奨されます。

4.1 適度な運動

  • 有酸素運動: ウォーキングやジョギング、サイクリングなどの有酸素運動は、血液循環を促進し、脳への血流を増加させます。
  • 筋力トレーニング: 筋力を維持することで、全身の血流が改善され、脳への栄養供給が向上します。

4.2 バランスの取れた食事

  • 抗酸化物質の摂取: 野菜や果物に含まれる抗酸化物質は、脳の健康を保つために重要です。特に、ブルーベリーやほうれん草が推奨されます。
  • オメガ-3脂肪酸: 魚(特にサーモンやマグロ)やナッツに含まれるオメガ-3脂肪酸は、脳の機能をサポートし、認知症リスクを低下させる効果があります。

4.3 十分な水分補給

  • 水分摂取: 脳の水分を維持するために、日常的に十分な水分を摂取することが重要です。特に、喉が渇いていなくてもこまめに水分を取ることが推奨されます。

4.4 ストレス管理

  • リラクゼーション法: ヨガや瞑想などのリラクゼーション法は、ストレスを軽減し、血流を改善する助けになります。
  • 趣味や社交活動: 社交的な活動や趣味を持つことで、精神的な健康を保ち、脳の活性化につながります。

5. まとめ

老化に伴う血液量の減少は、脳への酸素や栄養供給を減少させ、脳の萎縮や認知症リスクを高める要因となります。しかし、若い頃から適切な運動、バランスの取れた食事、水分補給、ストレス管理を行うことで、これらのリスクを軽減し、脳の健康を維持することが可能です。早期の対策が、将来の脳の健康に大きな影響を与えることを理解し、日常生活に取り入れていきましょう。

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