首を反らす動作と頸椎への影響
人間の頭部はボーリングの球ほどの重さ(約4~6kg)があり、これを支えているのが首の後方にある筋肉群です。後頭下筋群、板状筋、脊柱起立筋、僧帽筋などが協調して働くことで、頭部を安定させ、スムーズな動きを可能にしています。
首を反らす動作は、これらの後方の筋肉が収縮することで行われます。しかし、筋肉を十分に収縮させずに反ってしまうと、頚椎、特に下部頸椎に過剰な負担がかかり、様々な問題を引き起こす可能性があります。
筋肉を使わない首の反りによる悪影響
- 頚椎の前弯減少(ストレートネック): 正常な頚椎は緩やかな前弯を描いていますが、後方の筋肉を使わずに首を反らすと、頚椎の下部が前傾し、前弯が減少してしまいます。 これがいわゆる「ストレートネック」です。
- 首の前方突出: ストレートネックが進行すると、頭部が前方へ突出する姿勢になり、首の後ろの筋肉がさらに伸張され、弱化していきます。
- 頸椎への負担増加: 首の後方の筋肉が弱化すると、頭部を支える力が低下し、頚椎への負担が増加します。
- 悪循環: 頚椎への負担増加は、首の痛みやこり、頭痛、めまい、自律神経の乱れなど、様々な不調につながる可能性があります。2 また、頚椎の変形や神経の圧迫が起こり、頚椎症や神経根症などの疾患に発展するリスクも高まります。
正しい首の反らし方
首の痛みや頸椎の異常を予防するためには、後方の筋肉を意識して首を反らすことが重要です。
- 背筋を伸ばす: まず、背筋を伸ばし、胸を張るように意識します。
- 顎を引く: 顎を軽く引いて、首の後ろを伸ばします。
- 後方の筋肉を意識: 首の後ろの筋肉を意識しながら、ゆっくりと頭を後ろに倒していきます。
- 無理のない範囲: 痛みや違和感を感じない範囲で、首を反らします。
日常生活での注意点
- デスクワーク: パソコン作業など、長時間同じ姿勢でいる場合は、こまめに休憩を取り、首を回したり、ストレッチをしたりして、首の筋肉をほぐしましょう。
- スマホ: スマートフォンを見る際は、顎を引いて目線を下げるようにし、首を過度に曲げないように注意しましょう。
- 枕: 高すぎる枕は、首を過度に曲げてしまうため、適切な高さの枕を選びましょう。
まとめ
首を反らす動作は、後方の筋肉を適切に使うことで、頭部を安定させ、首への負担を軽減することができます。筋肉を使わずに反ることは、頚椎の異常や首の痛みにつながるため注意が必要です。日頃から正しい姿勢を意識し、首の筋肉を鍛えることで、首の健康を維持しましょう。
体作り・体使い・姿勢の達人の店ボディケアグリーンズ 森田